第25回 日本放射光学会奨励賞


大坂 泰斗 会員 (OSAKA Taito)

理化学研究所放射光科学研究センター XFEL 研究開発部門
ビームライン研究開発グループ ビームライン開発チーム

X 線自由電子レーザー先端利用のための新しいX 線光学系の開発

  大坂泰斗氏は、 X 線自由電子レーザー(XFEL)の先端利用を実現する新しいX線光学系として、X線分割遅延光学系、ならびに、Siマイクロチャネルカット結晶素子の開発を実現した。
  X線分割遅延光学系は、単一のXFELパルスから時間差可変のダブルパルスを生成する光学系である。X線光子相関分光法(XPCS)やX線非線形光学等のXFEL先端利用を大きく発展させると期待されていたが、技術的な難度が極めて高く実現されていなかった。大坂氏は、要素技術としてのシリコン光学素子を開発しながら、光学系を新たに設計・構築した。その上で、SACLAで検証試験を行い、分割遅延系が正しく動作することを世界で初めて実証し、さらにXFEL の時間コヒーレンス特性の直接計測も達成した。また、 Siマイクロチャネルカット結晶素子は、反射型セルフシード法という新たなXFEL生成手法において中核となる光学系である。大坂氏は、優れた結晶加工技術を用いてギャップ幅がわずか100 μmのSiマイクロチャネルカット結晶素子を開発し、反射型セルフシード法による高強度・狭帯域なXFELの安定生成の実現と、その利用の発展に大きく貢献した。
  大坂氏は、XFEL施設・コミュニティを中心に国際的な評価も極めて高く、今後の一層の活躍が期待される。 以上により、大坂泰斗氏の業績は本学会奨励賞に相応しいものと認められた。

日本放射光学会
会長 朝倉清高

2021年 1月