第22回 日本放射光学会奨励賞


松井 公佑 会員 (MATSUI Hirosuke)

名古屋大学大学院 理学研究科

OperandoイメージングXAFS法の開発と実固体触媒材料の可視化

  松井公佑氏は、固体触媒材料中の元素の分布や酸化状態、配位構造の違いを反応条件下で可視化することのできるoperandoイメージングXAFS法を開発し、触媒科学への展開において革新的業績をあげている。例えば、排ガス浄化材料であるセリア-ジルコニア複合酸化物粒子内部のCeの価数変化を走査型顕微XAFS法によって明らかにし、酸素を吸蔵するCeの酸化過程では、表面に担持したPtとは無関係に粒子全体から反応が進行するのに対し、酸素を放出するCeの還元過程では、担持したPtを起点として反応が進行することを可視化している。また、3次元CT-XAFS法により、固体高分子形燃料電池電極膜の発電条件下でのoperandoイメージングXAFS測定を実現し、加速劣化試験前後での同一視野での3次元観察から、カソード触媒であるPtが価数変化を伴いながら触媒層から電解質膜へと溶出し、劣化していく過程を明らかにしている。
  このような同氏の特徴のある研究は、化学状態の2次元及び3次元可視化の観点から実用触媒材料が抱える諸問題を解決する糸口となる構造基盤情報を世界に先駆けて明らかにしたものであり、放射光科学ならびに触媒科学の進展と社会貢献に大きく寄与するものである。
  以上の理由により、松井公佑氏の業績は本学会奨励賞に相応しいものと認められた。

日本放射光学会
会長 小杉信博

2018年 1月