会長挨拶

日本放射光学会会長

小杉信博


  2017年10月1日より2年間、日本放射光学会長を務めることになりました。年明けすぐの年会では学会設立30周年を祝うことになります。これまで30年間、18人の学会長のリーダーシップにより本学会は成長してきました。この成長を止めることなく、放射光学の発展のために微力ながら学会長としての役目を果たしていきたいと思います。

  本学会はオールジャパンの放射光コミュニティとして国内外に認知されており、国内の放射光に関わる諸問題を解決する組織としても期待されているところです。30年前の設立趣意書には、「放射光学の現在、そして将来の格段の発展をはかるため、研究の成果と動向に関する意見の交換、共通の学術的・技術的課題の解決、あるいは新分野の開拓を目指した迅速な内外の情報交換の場として日本放射光学会を設立」とあり、これが今も変わらず本学会の根本です。しかし、この30年間で学会の対外的位置づけがかなり変わってきました。特に、ここ数年間、放射光分野のマスタープランとして日本学術会議に3GeVクラスの軟X線光源施設を提案してきた活動などは、学会設立時には想定できなかったことだと思います。

  本学会は、放射光源施設なくしては成り立たない組織ですので、国内各施設との連携は欠かせませんし、各施設・利用者団体からも頼られる存在になることが理想です。歴史的に年会は各施設・利用者団体との連合の形で開催されてきましたが、それ以上の活動は設立趣意書の趣旨からもしてきませんでした。しかし、今や主たる光源施設が国内に10前後もある状況になって、外部からは、新しい施設をさらに作る必要があるのか、古くなってきた施設を更新するのか、高度化するのか、止めるのか、などの問題をオールジャパンで考える組織、日本全体のグランドデザインを作る組織、が本学会であると見なされるようになってきています。もちろん、本学会には各施設の将来を決めるだけの力はありませんし、各施設固有の問題は各施設で解決していただくのが原則です。その前提で学会としてできることを考えると、国内各施設が重点化すべき方向性や将来の方向性を定める際に各施設固有の利用者だけではなく日本全体の利用者を視野に入れて考えられることのできる環境を提供することが重要ではないかと思われます。

  以上の背景での活動方針として、1年目は学会として国内既存施設のそれぞれの動向の把握に努め、2年目には既存施設の責任者が集まる場を設定して、放射光コミュニティとして継続的に日本全体のグランドデザインを考えられるような形を作っていきたいと考えています。学会員の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。